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口頭

放射線の線質の違いによるDNA損傷スペクトルの類似点・相違点; 新規DNA損傷分析法による結果から

赤松 憲

no journal, , 

「電離放射線によって生じるDNA損傷の種類・量・分布(DNA損傷スペクトル)は線質・エネルギーによってどのように違うのか?」この問いに対する答えは、DNA損傷を発端とする突然変異・発癌メカニズムを解明するうえで極めて重要な情報となる。しかしながら、DNA損傷の多様さ,直接・間接効果の寄与率,酸素濃度、さらには、実験条件等の多くの不確定要素のため、過去数十年に渡る研究にもかかわらず、この問いに関する統一見解は得られていない。そこで演者は、個々の損傷の化学構造に厳密にこだわらず、かつ照射DNAの脆弱性に影響されにくいDNA損傷スペクトル分析法を開発したので紹介する。この方法では、DNA分解酵素として、3'水酸基末端を認識し2'-deoxynucloside-5-phosphateを逐次切り出す蛇毒ホスホジエステラーゼ、及びアルカリホスファターゼを用いる。SVPDの基質特異性とそのミハエリス-メンテン型の反応速度論的性質を活用することによって、3'鎖切断末端におけるリン酸基の有無,ピペリジン脆弱性部位というカテゴリーで損傷を分類することが可能である。本方法で分析したDNA損傷スペクトルが線源間でどのように違うかを紹介し、ほかの情報と合わせながら議論したい。

口頭

重イオン照射により生成する水中OHラジカル

田口 光正

no journal, , 

高エネルギー重イオンは特異的な照射効果を引き起こすことが知られており、生物影響研究の有力な"ツール"として期待されている。この特異的な照射効果は、イオン飛跡周りに高密度かつ不均一に生成する活性種の反応や拡散によるものと考えられる。生物を研究対象とした場合、水の分解によるOH(水酸化)ラジカルがおもに反応に関与し、OHラジカルの反応機構の解明は照射効果を理解するために非常に重要である。フェノール水溶液試料に2-18MeV/n程度のHe, C及びNeイオンを照射し、生成物分析を行った。3種類の構造異性体を持つ酸化反応生成物(ハイドロキノン,レソルシノール及びカテコール)について、その生成収量を、水中で進行方向に連続的に減弱するイオンエネルギーの関数として微分解析し、各生成物の収率(微分G値)を求め、$$gamma$$線照射したときの収率との比からOHラジカルの微分G値を求めた。その値は、水中における重イオンの比エネルギーとともに増加すること、同一比エネルギー核種では原子番号が大きくなるにつれて小さくなること、さらに平均反応時間1.5から300nsの間では時間経過に伴い小さくなることを明らかにした。

口頭

腫瘍形成における組織形態の数理モデル

大内 則幸

no journal, , 

近年、細胞のがん化プロセスにおいて物理的な刺激(細胞接着や細胞の変形等)がDNA生成あるいはアポトーシスに寄与していることが判明し、それら要因の発がんプロセスへの寄与に関する研究の必要性も高まっている。シャーレ上の実験と異なり、ヒトにおける発がんプロセスは、さまざまな環境条件の異なる中で進むが、それらの発がん過程への影響・寄与に関してはまだ研究が進んでいないと思われる。今回、組織構造において、腫瘍がどのように成長するかを調べるために組織構造をモデル化した数理モデルを構築した。会議において、腫瘍成長のダイナミクス及び、その形態変化に関して発表する予定である。

口頭

原子力機構の生物照射用集束式重イオンマイクロビーム装置

舟山 知夫; 坂下 哲哉; 及川 将一*; 佐藤 隆博; 横田 裕一郎; 和田 成一*; 神谷 富裕; 横田 渉; 小林 泰彦

no journal, , 

原子力機構・高崎量子応用研究所・TIARAではAVFサイクロトロンの垂直ビームラインにコリメーション式マイクロビーム装置を設置し、バイスタンダー効果研究などで成果を挙げてきた。しかし、コリメーションによるマイクロビーム形成では、形成できるビームサイズに限界がある。現在のマイクロビーム利用研究では、細胞そのものに加え、細胞内小器官への放射線障害が細胞死に与える影響にも関心が高まっており、より径の小さいビームが求められている。そこで、磁気レンズによる集束式マイクロビーム装置を従来の装置とは異なるビームラインに新規に設置した。集束式ビームはサブミクロンのビームが形成可能でかつコリメーター周辺部による散乱がない。加えて、ビームスキャナでビームの高速なスキャンを行うことで、細胞への高速連続照射が実現可能になる。この集束式マイクロビーム装置を用いて、直径1$$mu$$m以下のビームを真空中で形成することに成功した。形成したビームを大気中に取り出し、CR39を照射してビームの分布を測定したところ、大気中でも、従来のマイクロビーム装置よりも微細な5$$mu$$m径以下のビームを得ることができた。

口頭

植物細胞における放射線の生物効果のLET依存性

横田 裕一郎; 長谷 純宏; 井上 雅好; 鳴海 一成; 舟山 知夫; 小林 泰彦; 田中 淳

no journal, , 

環境放射線には、線エネルギー付与(LET)が高く、生物効果が大きいアルファ線が含まれており、環境生物への影響を明らかにするためには、LET効果を考慮する必要がある。そこでわれわれは、地球上に存在する生物量及び種数が多く、環境生物として重要な地位を占める植物の培養細胞(タバコBY-2株)由来のプロトプラストに高LETの重イオンビームを照射し、細胞致死効果やDNA2本鎖切断(DSB)生成効果を解析した。その結果、線量あたりの効果は、細胞致死で247keV/$$mu$$mの、DSB生成で124-241keV/$$mu$$mの炭素イオンで、それぞれ最大となった。これは、哺乳動物細胞や酵母を用いて明らかにされてきた放射線生物効果のLET依存性とは異なるものであり、環境生物への放射線影響を考えるためには、哺乳動物や酵母で蓄積されてきたデータだけでは不足であることを強く示唆する。

口頭

重イオンマイクロビームを利用したモデル生物・線虫の放射線生物研究への取り組み

坂下 哲哉; 鈴木 芳代; 浜田 信行*; 池田 大祐*; 深本 花菜; 横田 裕一郎; 舟山 知夫; 簗瀬 澄乃*; 東谷 篤志*; 石井 直明*; et al.

no journal, , 

多細胞モデル生物として知られる線虫を対象として、個体の重イオンマイクロビーム照射研究を進めている。私たちが用いている炭素イオンマイクロビームの水中飛程は約1.2mmであることから、体長約1mm・幅数十$$mu$$mの線虫のすべての細胞と組織が照射対象になる。マイクロビーム照射装置を用いて、杉本らは、線虫の生殖細胞へのマイクロビーム照射を行い、照射域での細胞周期の停止・アポトーシスの誘発を報告した。私たちは、さらに線虫の神経系をターゲットとし、化学走性学習に与える放射線局部照射の影響を明らかにすることを目的とした研究を進めている。しかし、$$^{60}$$Co$$gamma$$線の線虫個体全体への照射が化学走性学習に与える影響を調べたところ、学習中に照射した場合のみ放射線影響が観察された。そのため、杉本らが用いた線虫の神経麻酔による固定の代替法が必要である。現在、「線虫が動いている状態で重イオンマイクロビームを照射する方法」の開発に取り組んでいる。

口頭

重粒子線誘発DNA損傷スペクトルの飛跡構造シミュレーションによる推定

渡辺 立子; 佐藤 理*; 久保田 あさ子*; 船曳 淳*; 斎藤 公明

no journal, , 

これまでに、われわれは、おもに低LET放射線によるDNA損傷の生成過程を、飛跡構造シミュレーションを出発点として直接作用と間接作用を段階を追ってモデル化しシミュレーションするシステムを確立してきた。今回、新たに、プロトンからウランまでのいずれの核種の荷電粒子も扱える飛跡構造シミュレーションコードを構築した。本研究の目的は、この新たに構築したシステムを用いて、重粒子線によるエネルギー付与の微細構造がDNA損傷の初期生成スペクトル(損傷数及び損傷の位置関係)にどのように反映され、また、飛跡内でどのようにDNA損傷が分布するかを推測し、LET及びイオン核種による生物効果の違いとの関連性を探ることである。本発表では、構築した重粒子線シミュレーションコードの概要について述べるとともに、細胞環境,水溶液、のDNAサンプルを想定した条件下で、おもに炭素について計算したDNA損傷スペクトルのLET依存性を示す。

口頭

Mutagenic potential of non-DSB clustered damage containing 8-oxoG and single strand break

野口 実穂; 漆原 あゆみ*; 横谷 明徳; 鹿園 直哉

no journal, , 

クラスターDNA損傷は1$$sim$$2ヘリカルターン(10$$sim$$20bp)に2個以上の損傷を生じたものと定義される。電離放射線により生成されるクラスターDNA損傷の中で二本鎖切断は細胞死や染色体異常に直結する損傷と考えられており、その生成効率や修復効率,修復過程やシグナル伝達に至るまで研究が進んでいる。しかし、非二本鎖切断型クラスター損傷においては高い生物効果が予測されるが、損傷の検出が難しく、研究がほとんど進んでいない。本研究では塩基損傷に鎖切断を伴う複雑な損傷について、2種のDNAグリコシラーゼを欠損した大腸菌株を用いて突然変異誘発を検討した。8-oxoGと相補鎖の鎖切断とによるクラスター損傷の場合、8-oxoG単独の損傷よりも突然変異誘発率が上昇した。しかし、8-oxoGと鎖切断とが同一鎖上にあるクラスター損傷では8-oxoG単独の損傷に比べ突然変異誘発率の顕著な上昇は認められなかった。以上から(1)8-oxoGと相補鎖の鎖切断の場合、相補鎖の鎖切断が8-oxoGの修復を阻害する。(2)同一鎖の場合、8-oxoGは鎖切断の修復に伴い除去されている可能性があることが考えられ、8-oxoGと鎖切断とのクラスター損傷では鎖切断が二本鎖のどちらに存在するかにより突然変異誘発率が大きく変化することが示唆された。

口頭

放射線によりプラスミドDNAの両鎖に生じた非DSB性多重SSBのDNA変性を利用した新しい定量法

横谷 明徳; 漆原 あゆみ*; 藤井 健太郎; 鹿園 直哉

no journal, , 

われわれは、高密度電離放射線の照射により誘発される複雑なDNA損傷(クラスター損傷)の構造の解明を目指し、DNAの変性を利用する新しいアッセイ方法を開発した。照射したプラスミドDNAを、制限酵素(Hind III)で処理することで直鎖状にした後にホルムアミド(50% v/v)を加え、熱脆弱部位の切断が生じないよう37$$^{circ}$$C, 5分間という穏やかな変性条件で処理することで1本鎖DNA(SS-DNA)にした。この後アガロース電気泳動法により放射線照射で切断されずに残存した無傷のSS-DNAの量を定量した。間接効果が支配的で1ヒット理論が十分適応できる希薄溶液試料に対してX線照射した場合には、予想通りDNAの方鎖だけが切断され相補鎖は無傷であることが、残存S S-DNAの線量効果曲線から結論された。講演では、本手法によるクラスターDNA損傷の直接観察への有効性を紹介する。

口頭

パルスラジオリシス法による脳梗塞用薬剤エダラボンの酸化性ラジカルとの反応性の研究

端 邦樹; 勝村 庸介; Lin, M.; 室屋 裕佐*; 工藤 久明*; 中川 恵一*; 中川 秀彦*

no journal, , 

エダラボンは、脳虚血-再灌流時において発生する活性酸素を除去するラジカルスカベンジャーであり、2001年より国内で使用されている脳梗塞用薬剤である。その反応性を調べるため、パルスラジオリシス法を用いてエダラボン水溶液中にさまざまなラジカルを選択的に発生させ、エダラボンと酸化性ラジカルとの反応性を直接的に観測した。反応させたラジカルは$$^{.}$$OH, N$$_{3}$$$$^{.}$$, Br$$_{2}$$$$^{.-}$$, SO$$_{4}$$$$^{.-}$$, CCl$$_{3}$$O$$_{2}$$$$^{.}$$である。この測定によって、エダラボンとラジカルとの反応速度定数を算出し、生成する反応中間体の吸収スペクトルを得た。N$$_{3}$$$$^{.}$$, Br$$_{2}$$$$^{.-}$$, SO$$_{4}$$$$^{.-}$$, CCl$$_{3}$$O$$_{2}$$$$^{.}$$によるエダラボンの酸化による中間生成物は同一の吸収スペクトルを示し、吸収ピークは$$lambda$$$$_{max}$$=345nm ($$varepsilon$$$$_{345nm}$$=2600M$$^{-1}$$cm$$^{-1}$$)となった。一電子引き抜き反応によるエダラボンラジカルの生成と考えられる。一方、$$^{.}$$OHとの反応では、吸収ピークは$$lambda$$$$_{max}$$=320nm($$varepsilon$$$$_{320nm}$$=4900M$$^{-1}$$cm$$^{-1}$$)となり、特異的なスペクトルを示した。$$^{.}$$OHとほかの酸化性ラジカルとでは異なる反応中間体を生成しているということが示唆される。これは、脱気下において$$^{.}$$OHが二重結合への付加反応を起こしているものと考えられる。反応速度定数は、$$^{.}$$OH, N$$_{3}$$$$^{.}$$, SO$$_{4}$$$$^{.-}$$, CCl$$_{3}$$O$$_{2}$$$$^{.}$$それぞれについて8.5$$times$$10$$^{9}$$, 5.4$$times$$10$$^{9}$$, 6.0$$times$$10$$^{8}$$, 5.1$$times$$10$$^{8}$$M$$^{-1}$$s$$^{-1}$$と得られた。

口頭

dGMPのOHラジカル付加物に対するシリビンとシリビン誘導体の修復機構

Fu, H.*; 勝村 庸介; Lin, M.; 室屋 裕佐*

no journal, , 

水溶液中のdGMP(deoxyguanosine monophosphate)のOHラジカル付加物に対するシリビンとシリビン誘導体の修復のメカニズムを解明するためのパルスラジオリシス実験を実施した。0.1mMのシリビン, 2mM dGMPを含む中性水溶液をN$$_{2}$$Oで飽和して用いた実験の結果、dGMPのOHラジカル付加物の吸収スペクトルの減衰と平行してシリビン類のフェノキシラジカルの生成を観測した。これは、dGMPのOHラジカル付加物のシリビンによる修復作用を示しており、その反応速度定数を1$$times$$10$$^{9}$$M$$^{-1}$$s$$^{-1}$$と決定できた。また、4種のシリビン誘導体の修復反応の速度定数も測定し、その中ではシリビンが最も高修復効率を持つことを示した。これらはフェノキシ系抗酸化剤の一般的な非酵素の迅速修復機構を示している。

口頭

大気マイクロPIXE法を用いたカドミウムの精巣障害における重金属元素分布の解析

草壁 孝彦*; 中里 享美*; 高田 久嗣*; 久永 悦子*; Moon, H. D.*; 中島 克行*; 鈴木 慶二*; 及川 将一*; 佐藤 隆博; 荒川 和夫; et al.

no journal, , 

大気マイクロPIXEを用いて、カドミウムの精巣障害について検討した。ラットにカドミウムを投与した精巣(精細管,間質)において、カドミウムと鉄の分布が確認された。さらに、精巣の単離細胞培養を行い、カドミウムを投与した後に細胞内の金属元素分布を測定した。その結果、細胞質内へのカドミウムの取り込みと細胞質における亜鉛の減少と鉄の増加が確認された。これまでのカドミウムが血液精巣関門を崩壊させている病理学的な知見と本実験結果から、カドミウムにより血液関門の崩壊が生じ、その結果精巣細胞内に流入した鉄が精巣組織障害の増強に関与していることを示唆する有力な証拠が得られた。

口頭

8-oxoGとDHTからなるクラスターDNA損傷のプロセシング経路

鹿園 直哉; Pearson, C.*; Thacker, J.*; O'Neill, P.*

no journal, , 

クラスターDNA損傷は、単一の放射線のトラックによって生じる電離放射線に特徴的なものと考えられているが、そのin vivoでのプロセシングについては不明な点が多い。そこで、二本鎖上の任意の位置に二つの塩基損傷(8-oxo-7,8-dihydroguanine (8-oxoG)及びdihydrothymine(DHT))を配置させ、単独の塩基損傷に比べて大腸菌において変異誘発頻度が高まるかどうかを調べた結果、クラスターDNA損傷では突然変異頻度は高まることが見いだされた。8-oxoGと脱塩基部位(AP site)からなるクラスターDNA損傷でも同様な結果が得られた。クラスター損傷の修復過程に関してさらなる知見を得る目的から、8-oxoGが除去された後に生ずると考えられる中間体を調べたところ、「APとAP」もしくは「APと鎖切断」ではほとんど複製が起こらないことが明らかになった。これらの結果から、8-oxoGもしくはDHTが除去された後、残ったクラスター損傷内の塩基損傷は、AP部位や1本鎖切断にさらに変換されないと示唆される。

口頭

${it C. elegans}$の運動抑制に対する$$gamma$$線照射効果

鈴木 芳代; 坂下 哲哉; 舟山 知夫; 深本 花菜; 浜田 信行*; 横田 裕一郎; 片岡 啓子*; 楚良 桜; 辻 敏夫*; 小林 泰彦

no journal, , 

神経系のモデル生物として知られる線虫(${it C. elegans}$)は、温度や化学物質などさまざまな刺激に対して誘引/忌避応答を示す。また、エサの存在下では、エサのない場合の約60%まで運動が低下する(減速応答)。われわれはこれまでの予備的な実験から、$$gamma$$線照射によっても、線虫の運動が低下することを見いだした。そこで、本研究では、「エサの存在」と「照射」が線虫の運動の減速制御に及ぼす効果を検証するため、成虫段階の線虫(野生型)に100-1500Gyの$$^{60}$$Co $$gamma$$線を照射して、エサのある/ない寒天プレート上での照射直後の運動を調べた。運動指標は20秒間に頭を振った回数とし、1試行あたり5個体を計数し、その平均値を用いた。エサのないプレート上での運動は線量依存的に低下し、1500Gyでは非照射個体(対照)の約40%となった。一方、エサのあるプレート上での運動は、いずれの線量でも、照射個体と非照射個体との間に有意な差がなかった。このことから、「エサの存在」と「照射」の2つの運動抑制の要因が、かならずしも加算的な効果とはならない可能性が示唆された。

口頭

放射線照射による細胞膜損傷からのアポトーシス誘発機構の解析

和田 成一*; 舟山 知夫; 坂下 哲哉; 深本 花菜; 横田 裕一郎; 柿崎 竹彦*; 浜田 信行*; 原 孝光*; 伊藤 伸彦*; 小林 泰彦

no journal, , 

細胞膜も放射線に対する重要なターゲット分子と考えられている。細胞膜損傷が発端となるアポトーシス誘発のメカニズムを解明するためには、細胞膜に特異的に損傷を付与できる実験系が極めて有効である。重イオンマイクロビームでは細胞膜/細胞質に限定して放射線損傷を付与することによる放射線応答を直接的に解析できる。そこで、細胞核に損傷を与えない選択的照射を行うことによる細胞損傷からのアポトーシス誘発機構を解析した。照射細胞はCHO-K1細胞を用いた。細胞質のみの選択的な照射を行うために原子力機構・高崎量子応用研究所において11.2MeV/u Arイオンマイクロビームを用いた。細胞質領域への選択的な損傷付与によるアポトーシスの出現頻度を調べた時、アポトーシスの出現頻度は細胞質照射群において非照射細胞群よりも高くなることが観察された。さらに、イオンがヒットした細胞質の領域付近にセラミドが局在することが観察された。この結果から放射線照射による細胞膜損傷によってスフィンゴミエリナーゼが活性化され、シグナル分子であるセラミドがアポトーシス誘発機構に関与すると考えられた。

口頭

重粒子線照射によりBcl-2過剰発現細胞の放射線抵抗性は消失する

浜田 信行*; 原 孝光*; 舟山 知夫; 坂下 哲哉; 片岡 啓子*; 楚良 桜; 鈴木 芳代; 深本 花菜; 横田 裕一郎; 大村 素子*; et al.

no journal, , 

重粒子線は、低LET放射線に比べて、生物学的効果が高く、線量分布の集中性にも優れていることから、がん治療に利用されている。本研究では、抗アポトーシス因子として知られているBcl-2を高発現するがん細胞の放射線抵抗性に及ぼす重粒子線の効果を明らかにすることを目的とした。ヒト子宮頸がん由来のHeLa細胞にBcl-2を過剰発現させたHeLa/bcl-2細胞は、薬剤耐性遺伝子のみを導入したHeLa/neo細胞よりも、LET=0.2keV/$$mu$$mの$$^{60}$$Co $$gamma$$線と16keV/$$mu$$mの重粒子線には抵抗性であったが、76-1610keV/$$mu$$mの重粒子線照射後の生存率は両細胞で一致したことから、Bcl-2の高発現に起因する放射線抵抗性は高LET重粒子線の照射により消失することがわかった。さらに、吸収線量あたりの殺傷効果が最も高かった炭素線(108keV/$$mu$$m)を照射したHeLa/bcl-2細胞では、HeLa/neo細胞に比べ、有意なアポトーシス誘発率の低下とともにG2/M期停止の延長が認められたことから、Bcl-2は、抗アポトーシス因子であるだけではなく、細胞周期チェックポイントにも関与している可能性が強く示唆された。

口頭

重粒子線照射によるヒト正常線維芽細胞の分化の誘導

楚良 桜; 浜田 信行*; 舟山 知夫; 坂下 哲哉; 小林 泰彦

no journal, , 

低LET放射線に比べて、重粒子線は、物理学的特性に優れており、殺細胞効果も高いことから、がん治療に用いられている。しかし、線量分布の集中性に優れているといえども、腫瘍組織の内部や周囲に存在する正常組織への照射は避けられない。放射線治療に伴う線維症の誘発は、正常細胞の分化の促進に起因すると考えられているが、重粒子線による分化の誘導効果はこれまでに明らかとされていない。そこで、本研究では、$$^{60}$$Coの$$gamma$$線(LET=0.2keV/$$mu$$m)又は炭素線(108keV/$$mu$$m)を照射したヒト正常線維芽細胞における形態学的分化の誘導を解析した。その結果、照射後5日目での分化の誘導に対する炭素線の生物学的効果比が、約4であることがわかった。今後は、線維芽細胞の放射線照射による分化促進のLET依存性と、その機序について明らかにしていきたい。

口頭

重粒子線照射によりヒト正常細胞に遅延的に誘発される生物効果の解析

浜田 信行*; 原 孝光*; 舟山 知夫; 坂下 哲哉; 小林 泰彦

no journal, , 

放射線の照射により生じるDNA損傷を修復した細胞は、一見正常に増殖するが、子孫細胞には細胞増殖死や染色体異常などが遅延的に誘発されることが知られており、この現象は、放射線誘発遺伝的不安定性と呼ばれている。本研究では、遺伝的不安定性誘発のLET依存性を明らかにするために、$$^{60}$$Co$$gamma$$線(LET=0.2keV/$$mu$$m)あるいは6種の重粒子線(16.2$$sim$$1610keV/$$mu$$m)を照射したヒト正常二倍体線維芽細胞の子孫細胞に誘発される遅延的な効果を調べた。まず、遅延的細胞増殖死の指標として遅延的なコロニー形成能の喪失を解析したところ、1次コロニーと2次コロニーの生存率は、ともに炭素線(18.3MeV/amu, 108keV/$$mu$$m)の照射によって最も低下することがわかった。そこで、線量とLETに依存してコロニー形成能が遅延的に低下する機序を明らかにするために、1次コロニーを構成する個々の細胞の形態変化を解析したところ、分化の進行により分裂能が低下した細胞は線量とLETに依存して高頻度に認められたが、巨細胞や多核化細胞の誘発頻度は、分化した細胞に比べ著しく低いことがわかった。

口頭

重粒子線照射による早期老化の誘導

大上 厚志*; 清水 宣明*; 田中 淳*; 大槻 貴博*; 品川 雅彦*; 森 隆久*; Saha, M. N.*; Ariful, H. S.*; Islam, S.*; 中村 孝子*; et al.

no journal, , 

ヒトグリオーマ由来NP-2細胞に重粒子線を照射すると、巨大化・扁平化した細胞の出現や細胞質内の顕著な顆粒蓄積が見られた。このような形態変化は、老化細胞の特徴として知られている。そこで、さらに幾つかの老化マーカーを調べると、すべてに陽性の結果が得られた。また、5-bromodeoxyuridineの取り込み試験を行うと、ほとんどのSA-$$beta$$-Gal陽性細胞は、DNA複製を停止していた。これらの結果は、重粒子線を照射したNP-2細胞に増殖停止を伴う老化様形質が誘導されてきたことを強く示唆している。一般的に、細胞老化にはテロメア短縮を伴うreplicative senesecenceと、伴わないstress-induced premature senescence(SIPS)に分類されている。本実験においてSouthern blotting解析により、SA-$$beta$$-Gal陽性細胞における平均テロメア長に変化が認められなかったことから、後者のタイプ(SIPS)の細胞老化であることが示唆された。これまでに、老化細胞は、酸化ストレスの高い状態にあることが報告されているが、本実験の老化様形質を示す細胞も高い酸化ストレスの状態にあることが明らかとなった。また、細胞老化における増殖停止にp53が重要な働きをしていることが知られている。しかし、本実験に用いたグリオーマ由来細胞株は、変異型のp53を持っているために、p53非依存性メカニズムにより、老化様形質が誘導されたものと推測された。

口頭

骨格筋単離筋線維に与える重イオンマイクロビーム照射の影響の形態学的検討; 筋ジストロフィー研究への応用を目指して

日野 瑞城*; 和田 成一*; 多鹿 友喜*; 森村 吉博*; 浜田 信行*; 舟山 知夫; 坂下 哲哉; 柿崎 竹彦*; 小林 泰彦; 依藤 宏*

no journal, , 

筋ジストロフィーは筋力低下と筋の壊死,変性を伴う進行性の疾患群の総称である。このうち一大グループを成しているのが細胞膜周辺に局在する蛋白質の異常を原因とするものである。現在、これらの筋では、細胞膜が損傷を受けやすい、あるいは受けた損傷を修復しにくいことが発症の原因であるという仮説が有力である。しかしin vitroの実験において骨格筋の細胞膜に損傷を与える適切な方法がなく、筋ジストロフィー発症のメカニズムを解析するうえで妨げとなっている。そこでわれわれは重イオンマイクロビームが局所に高LETで細胞を照射できる性質に着目し、細胞膜に損傷を与える目的で骨格筋筋線維に対する照射実験を行った。

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